確かに開いた。
今日の10:55から確かに。
この目で異次元の世界を見た。
むしろ問題用紙を引きちぎって「知るかボケェェェェェェェッッッ!!!!!」と叫びたかった。
それが出来なかったから目が泳いだ。
あ、11:00になった。
周りではシャーペンのカツカツという音が響く。
皆、書けてるんだね…
このまま不貞寝してやろうか。
そして、ふぁんぐの前に異次元の扉が開いた。
扉のむこうには、何があるんだろう。
数学のない世界が広がっているのかもしれない…
隣からもカツカツとすさまじい音がする。そんなに急いでどこへいく。
急いだっていいことない。
計算ミスするよお兄さん(←同い年もしくは年下笑)。
だってワークでは「コレが焦点、焦点からの和は●●だよ、この双曲線を求めて見ようぜ☆」てな内容(から始まっていた)だったはず。
なのに。
「2点A、Bの距離は2である。直線AB上にBP=1となるような点Pをおき、A,Bが座標軸上を移動するときのPの軌跡を求めよ」
(覚えてた僕を褒めてくれ誰か)
あぁ、いろいろあったなぁこっちの世界も。
あぁ数学のない世界へ旅立ちたい。
しかしそこでふぁんぐの頭をよぎったのはとんがった黒い角2本。もとい、耳。
あぁ愛しい狼曉。お前がまだこっちにいるのなら、僕は戻るよ、
たとえ………、たとえ数学がある世界だとしても……!!嗚呼、狼曉……(昔のメロドラ風/笑
現実に戻ってきたふぁんぐ。
異次元の扉はまだ開いたままだが、ふぁんぐはシャーペンを握った。役に立たないかもしれないけど。
カッと目を見開き、真っ白な回答用紙をにらみつけ、目を血走らせながら問題用紙を穴が開くほどにらみつける。
………部分点だけでも、ちょーだい、センセ………
そしてチャイム。
異次元の扉は閉まった。というか、その頃は既に存在を忘れていた。
解答用紙回収。
隣のすさまじい音を立てていたヤツはといえば。
後ろの席のやつに文句を言われていた。
「おまえ、とけねーからってシャーペンで机叩いてんじゃねーよ。うるさいだろーが!」
…もはや何も言うまい。